第15回 沖縄国際映画祭 正式招待作品

パンフテキスト

概要とストーリー

【概要】(パンフ)

 高校時代に大人気を博したR&Bバンド『銀天ガールズ』。20年を経てアラフォー世代となったメンバー4人が、地元の町おこしを目指して再び夢に挑む。沖縄の経済環境、子どもたちの貧困などを背景に、さまざまな事情を抱えながらも、沖縄・銀天街でたくましく生きる女性たちを描く。
 監督は、『青い魚』(1998)『真昼ノ星空』(2004)などでベルリン国際映画祭など数々の海外映画祭を賑わせ、全ての作品を沖縄で撮ってきた名匠・中川陽介。実に『群青 愛が沈んだ海の色』(2009)以来、14年ぶりのメガフォンだ。
 出演は、沖縄の演劇界で活躍する、上門みき、畠山尚子、ジョーイ大鵞、山内千草、田島龍。他に仲座健太、ゆっきー(きゃん×きゃん)、Kジャージ、玉城満などの芸人・俳優陣が集結。また音楽畑からは現役ドラマーの新垣美竹がドラム役で、また実力派歌姫役には、シンガーソングライターのjimama(『大丈夫』『でいご』など)が出演。初挑戦ながら見事な演技を見せる。そし商店街理事長役には、ロック歌手の
ジョニー宜野湾が扮し、迫力ある歌声を披露するなど、多彩なメンバーが映画を盛り立てる。
 脚本には『龍神マブヤー』『オキナワノコワイハナシ』の山田優樹。音楽には、アニメ『ARIA』シリーズやショーロクラブメンバーとして知られる沢田穣治。沢田は中川監督と20年来の盟友であり、3作目『FIRE!』以来全ての作品で音楽を担当している。
 ノスタルジックなコザの街を舞台に、笑って泣ける、新しい音楽映画がここに誕生!

【あらすじ】(パンフ)

畑で働くななえのもとに、コザ銀天街の儀間理事長が
訪れる。寂れる地元の街おこしのために、理事長は音楽コンテストを計画。『銀天ガールズ』にぜひ出て欲しい、という。『銀天ガールズ』とは、20年前に大人気を博した、ななえ・りか・真澄・由起子の4人によるR&Bバンド。ななえは承諾するも、仕事に子育てにと忙しいメンバーたちが、果たして乗ってくれるのか…..。

早速、リカと真澄の元を訪れ了解を得るものの、問題はボーカルの由起子だ。

銀天ガールズ全盛期、メジャーデビューの話が持ち
上がった。由起子は積極的だが、他のメンバーは「内地は怖い」と尻込み。そのせいでデビュー話は流れ、メンバーは喧嘩別れ。以来4人が集まったことはなかった。
由紀子のバーに「流し」に扮して乱入するななえ、りか、真澄。3人の奇妙な変装に、由紀子は思わず笑い出し20年ぶりの話し合いに。由起子はななえの新曲執筆を条件に、再結成を受け入れる。

ななえはコンテスト出場用に20年ぶりに新曲に取り
組む。しかし、10代の頃のようにはメロディは浮かばない。作曲の苦悩を訴えるななえに、儀間理事長はかつて自身が歌っていた、コザ暴動を歌ったブルース曲「燃える街」を聞かせる。楽曲の素晴らしさと、歌声に心を打たれたメンバーはこの曲での参加を決める。バンド名は改めて『銀天ママさんズ』と命名される。

イベントまで1週間。メンバーにはそれぞれに家族があり、仕事がある。その時間を縫ってのバンド練習に明け暮れる生活が始まった。

 ある日、一同はコンテスト告知のためにFM局へ。
そこにメンバーの先輩・カーズーが顔を出す。女性問題で失敗を重ね、コザを逃げ出したカーズーだが、今は東京の大手音楽プロダクションで成功しているという。さらに彼の仲介で、大物音楽プロデューサー・村井ヒロコが審査員としてコンテストに参加するという。目に止まればメジャー
デビューも夢じゃない。一同、膨らむ夢にハイテンションに。

 FM局の帰り、リカの携帯が鳴る。カーズーが「会いたい」という。かつて二人は恋人同士だったが、カーズーの浮気から苦い別れを経験していた。その痛みも忘れて能天気に飲みに行こうと誘うカーズー。リカは「信じられない」とひとり帰宅する。
 練習を終えた真澄がアパートに帰るも、部屋はカップラーメンや空き缶などでひどく散らかっている。真澄の旦那・伸幸は、妻の音楽活動が気にくわない。腹いせに部屋の片付けさえ拒否する始末なのだ。
 ななえの夫は公務員。娘ともどものコンテスト出場に「楽しみだな」と暖かく見守り、晩御飯さえ作ってくれる。ななえは夫の協力に感謝しつつ、キーボードの練習を続ける。
 ひとりビルの屋上に佇む由紀子。暮れてゆくコザの街並みに聞かせるように参加曲「燃える街」を歌う。その表情は、厳しく、そして真剣だ。

 4人それぞれの事情を抱えながら、いよいよコンテスト当日を迎える….